かつて漢方薬局だった古いショップハウスを改装。ティオンバル地区にオープンした温故知新のカフェ・ベーカリー。
 
        
        
 
	
    
こんにちは!シンガポールナビです。数年前から注目が集まる人気のエリア「ティオンバル」に、またまた気になるカフェがオープンしました。店名の「THE DISPENSARY」とは「調剤薬局」という意味。その名が示す通り、かつて漢方薬局だった建物(ショップハウス)を改装してカフェ・ベーカリーに生まれ変わらせました。モノクロのスタイリッシュな店構えに「同安堂薬行」という漢字が目を引きます。いったいどんなお店?ナビが取材を兼ねてランチに立ち寄ると、親切なスタッフさんが丁寧に店内を案内してくれました。
 
	
    
ティオンバルの町並み
ここ、ティオンバルには1930年代に建てられた初代公団住宅が数多く残り、他の町とは少し違うノスタルジックな雰囲気が漂っています。現在のHDBと呼ばれる公団住宅は高層なのに対し、この地域に残るのは4階建ての低層団地。白壁にアールデコ風の丸みを帯びた建築が特徴です。古くからこの土地に住んでいる住民が多く、町の中心にある「ティオンバル・マーケット」は食材や日用雑貨の買い出しに来る人、2階のホーカーセンターで食事をとる人でいつも大にぎわい。マーケット周辺には昔ながらのお食事処やコピティアム(コーヒーショップ)も多く、昼間から下着姿?!のようなおじさんたちが、のんびりとコーヒーカップを片手におしゃべりしています。
 
	
    
							 
					
							
		
		
    
      
      
		        
		 
			        ティオンバル・マーケット 
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			        戦前に建てられた低層団地。 
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そんな庶民の町に2010年頃からポツポツとオシャレなカフェや雑貨店、本屋さんなどが現れ始めました。都心部のオーチャード・エリアよりも物価が安く、低層団地とヤシの木が立ち並ぶのどかな雰囲気に惹かれたシンガポール人の若者や外国人居住者などが個人経営のお店を開き始めたのです。そうしたお店は「Yong Siak Street」や「Eng Hoon Street」を中心に点在しています。
        
		
    ショップハウスが並ぶティオンバル・ロード
    
												
											        
		
		        これは2年前に撮った写真。右端が「ホテル・ノスタルジア」、隣3軒目が空き家だった薬局の店舗。
			     
  
	
「ザ・ディスペンサリー」があるのは「ティオンバル・ロード」沿い。MRT東西線のティオンバル駅前からまっすぐ東へ10分ほど進み、途中で道なりに右方面へ曲がったあたりにあります。こちらに立ち並ぶのは「ショップハウス」と呼ばれる建物。1階が店舗、2階が住居として数軒ずつ並び建てられた、シンガポールやマレーシアのマラッカによく見られる伝統的な建築です。同じ通り沿いにはブティックホテル「Hotel Nostalgia」、地元の人たちに人気のお菓子屋さん「Galicier Confectionery」、フランス語の本屋さんなどがあります。
 
	
    2ヶ月間かけて大幅なリノベーション
    
							 
					
							
        
        
		            
		
		            スクリーンで改装の様子を映し出しています。
		         
	     
「同安堂薬行」という名前で営業していた漢方薬局、2000年頃から12年間以上、誰も使っていない空き家になっていたそうです。この店舗をたまたま見つけてすっかり気に入ってしまったオーナーカップルが、改装してカフェにすることを思い立ちました。このショップハウスの築年数は定かではありませんが、戦前から残る建物。約80年以上の歴史があると見られます。内部には薬局時代の家具や生活道具が残され、ここに暮らしていた家族の姿がそのまま目に見えるようだったといいます。オーナーは、こうした歴史的な遺産をそのまま活かしながら、心地よく斬新な空間を造り出そうとしました。リノベーションの様子は、注文カウンター横の壁に備え付けられたスクリーンにビデオ映像として流されています。
 
	
    
							 
					
							
        
        
		            
		
		            薬箪笥がお店のチャームポイント!
		         
	     
カウンターで働くスタッフの後ろには大きな薬箪笥。漢方薬を入れておくためのキャビネットです。その上に掲げられたメニューからサンドイッチと紅茶を注文し、店内をぐるりと見渡してみると、食器棚や足踏みミシン、薬を計る天秤や昔の看板など、古い道具がそこかしこに。この家で見つかった家具や道具を丁寧に手入れし、インテリアに取り入れているのです。
  
	
    
カフェメニューも充実
さてさて、肝心のフードはというと…、お食事系はサンドイッチが中心。ベーグルとトーストのサンドイッチが数種類とサラダがあります。自家製のスイーツが自慢で、見た目も可愛らしいカップケーキや食べ応えのあるベイクドタイプのケーキが充実。コーヒーを注文すると伝統的な中国の計りを使って豆を計ってくれるそう。紅茶はシンガポールの高級ブランド「TWG」の茶葉を使用。平日の午後にはスイーツとドリンクお得に楽しめる「ティーブレイク・セット」も提供しています。
 
	
		
    
												
											        
		
		        自家製のホールケーキ。
			     
  
	
		
    広い店内を歩いてみよう!
    
												
											        
		
		        1階奥のお部屋はこんな感じ。
			     
  
	
    
							 
					
							
        
        
		            
		
		            注文後、廊下を抜けた先にテーブル席があります。
		         
	     
テーブルは1階奥と2階、テラスにもあります。ナビが訪れたのは平日の昼間。お客さんも少なく、好きな場所を選んでゆっくりとサンドイッチをいただきました。まだオープンして1ヵ月余りですが、週末には大勢のお客さんで賑わっていました。
  
	
    
							 
					
							
		
		
    
      
      
		        
		 
			        階段を上がったところと、奥にも席があります。 
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			        テラス席。 
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2階にはショールームのようなお部屋もあります。ティオンバル・ロードを見渡せる窓から気持ちのよい風が入り、ノスタルジックな空間が広がっています。薬局時代の人々が使っていた道具と、現代のデザイナーズ家具やインテリア雑貨をミックスして展示。一部は値段が付いていて、購入できるようになっています。目にとまったのは、さりげなく飾ってあった古い手紙。1989年の消印が押された中国からのエアメールで、薬局の主人に宛てたものでした。ここに住んでいた家族の肖像写真も飾られています。午後の日射しの中、こうしたものをじっと眺めているとタイムトリップしてしまいそうな感覚になります。
 
	
    
							 
					
							
		
		
    
      
      
		        
		 
			        現代のインテリアをミックス。 
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			        開け放した窓からは心地よい風が入り込んできます。 
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			        中国から薬局の店主宛てに届いた80年代のエアメール。 
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			        ここに住んでいた家族の肖像。 
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広々とした空間を利用して、今後はイベントなども企画していきたいそう。そして、2013年中にシンガポール東部のベドック(Bedok)と、マレーシアのジョホール・バル(Johor Bahru)にも同じコンセプトの系列店をオープンさせる予定だそうです。
古いものを大切にしながら、新しいトレンドを生み出していく素敵なカフェ、町歩きの途中にぜひ足を運んでみてくださいね。以上、シンガポールナビでした。