マリーナ・ベイにオープンした広大な植物園。巨大なガラスドームの中に再現された、常春の楽園と雲を被った高山が圧巻!
こんにちは、シンガポールナビです。今日は「ガーデン・シティ」の異名を取るシンガポールが新たに生み出した、壮大なスケールの新しい植物園、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイをご紹介します。
マリーナ湾を見渡せる広大な敷地を持つこの植物園は、まるでSF映画のような、高度な技術を駆使したアトラクションが自慢です。巨大なガラスのドームの中には、常春の花園や寒冷な高山が再現されており、ここが赤道直下であることを忘れそうになるほど。高さ50mの人工の木「スーパーツリー」からは、園内だけでなくマリーナ・ベイ・サンズをはじめとする観光名所がぐるりと見渡せます。ロケーション抜群のこの植物園で、世界の樹木や花々のエネルギーに触れてみてください。
アクセスはMRTベイ・フロント駅から。トンボの湖の橋を渡って園内へ!
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイへの最寄りの駅は、MRTベイ・フロント駅(サークル線)。B出口を通って直通の地下通路を進むと、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの西に広がる「トンボの湖」方面に出ます。ここに架かる「ドラゴンフライ・ブリッジ(トンボの橋)」を渡って園内に入りましょう。この湖(池)には銀色の巨大なトンボのオブジェが設置されており、岸辺にはボードウォークが伸びています。ガーデンの中心のビジターセンターは、さらに東の方角にあります。
また、MRTマリーナ・ベイ駅(ノース・サウス線/サークル線)から、バスに乗ってガーデンズ・バイ・ザ・ベイへ行くこともできます。駅のA出口を出るとバス停への方向を示した歩道があり、屋根のついたバス停から400番のバスに乗ります。4つめの停留所で降りると、そこがガーデンズ・バイ・ザ・ベイです。
ビジターセンターで園内マップを調達して、2大ドームへGO!
ガーデン内に入ったら、まず園内中央部にあるビジター・センターへ行き、カウンターで園内マップをもらいましょう。ガーデンズ・バイ・ザ・ベイは最終的に「ベイ・サウス」「イースト・ベイ」「ベイ・セントラル」の3つのエリアで構成される計102ヘクタールの植物園になる予定ですが、2012年7月現在オープンしているのは、そのうち54ヘクタールを占めるベイ・サウス・ガーデン。このエリアの最大の見どころは、ビジター・センターの北の方角にある、「フラワー・ドーム」と「クラウド・フォレスト」の2つのガラスの巨大なドームです。早速行ってみましょう。
北へ歩いていくと、「キャノピー」と呼ばれる、チケットカウンターや売店の集まる場所があります。このカウンターで、「フラワー・ドーム」と「クラウド・フォレスト」の入場チケットが販売されています。一般旅行者は2つのドームの共通の入場券が大人28 Sドル、子供(3-12歳)15 Sドル。シンガポール在住者は、別の価格設定になっています。詳しくはこのページの下段にある「料金」の欄をご確認ください。
フラワー・ドーム ~さわやかな空気に包まれた、永遠の春の世界~
まずはキャノピーの左側に位置する、フラワー・ドームに入ってみましょう。ガラス張りのドームに足を踏み入れた途端、身の回りを包む涼しくてさわやかな空気にビックリします。ここは常夏の国のシンガポールが、高度な技術を駆使して、地中海や南アフリカやカリフォルニアなどの、冷涼かつ乾燥した地域の春を再現したアトラクションなのです。
広大なドームの内部は、一段低くなったところにある大花壇を中心に、多肉植物の庭、バオバブの森、オーストラリアの植物、南アフリカの植物、南アメリカの植物、地中海の植物、カリフォルニアの植物、オリーブの森が囲む構成になっています。世界各国の珍しい木々や、色鮮やかな花々を見ていると、まるで楽園に遊びにきたかのよう。ゆっくり散策したい空間です。
この先はフラワー・ドームの中の見どころを詳しく見ていきます。
◆サボテンの花に注目!多肉植物の庭
フラワー・ドームの入口の右手には、数多くの多肉植物が並ぶコーナーがあります。ドームのガラス越しに見えるマリーナ湾を背景に、背の高いサボテンが伸びている姿は迫力! 葉と茎、根の組織の中に水を貯えている多肉植物の仲間として、アロエやベンケイソウなども植えられています。特に注目してほしいのは、ぽつぽつと咲いているサボテンの花。栽培下では開花させることが難しいとされている、鮮やかなサボテンの花が、あちこちに咲いているのです。鋭いトゲの中で花びらを開くサボテンの花は、際だって可憐な印象です。ぜひお見逃しなく。
◆不思議な形に釘付け。バオバブとボトル・ツリーの森
多肉植物の庭を抜けると、アフリカに生えるバオバブの森があります。膨れた中心部と上に伸びるにつれて細くなる独特の形を持った幹は、まるで徳利のよう。この幹の膨れあがった部分には、サバンナの乾期にも耐えられるよう、水を溜めることができるのだそうです。また、このコーナーにはアルゼンチンのボトル・ツリー(カポック)も植えられています。これまた幹の中央部が丸く膨らんだ形の木で、名前のとおり巨大な瓶が並んでいるみたい。ボトル・ツリーの実から採れる繊維は、枕やクッションなどの詰め物として使われています。
バオバブとボトル・ツリーは一見姿がよく似ていますが、実は全く異なる種類のもの。その違いを見せるために、一緒に展示されているんだとか。不思議な形のこれらの木々は、お客さんに大人気。記念撮影をするときに映えるコーナーです。
ガラス張りの天井にむかって伸びるバオバブの木
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不思議な形のボトル・ツリー。おとぎ話の舞台のよう。
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◆ピンクッションが咲く南アフリカの庭
ドームの入口左手には、南アフリカの植物が咲くコーナーがあります。ここには針刺し状の花を咲かせる「ピンクッション」が展示されており、来場者の目を惹き付けています。マチ針のように見えるひとつひとつのトゲは、すべてめしべ。鮮やかな色と珍しい形がアフリカの大地を想像させます。楽しいオブジェも一緒に飾られているため、要チェックです。
名前どおりの形のピンクッション
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楽しいオブジェが飾られています。
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◆世界中の花々が咲き揃うフラワー・フィールド
広大なドームの中央、一段低くなったゾーンには、世界の花々が咲き誇る大花壇「フラワー・フィールド」があります。バラ、ユリ、紫陽花、ツツジ、ガーベラ、シクラメン、ベゴニア等が一度に咲き揃う花壇はたいへんな華やかさ。花々から放たれる芳香もすばらしく、思わずうっとりしてしまいます。常夏の国シンガポールでは、切り花以外に国内でバラを見る機会はほとんど無いため、ローカルのお客さんは特にバラ園に夢中。日本ではおなじみのツツジも、シンガポーリアンにとっては珍しい花として、人気を集めています。美しい花々だけでなく、世界各国のお客さんの反応を見るのも、楽しいですよ。フラワー・フィールドの花は、この先シーズンごとにラインナップ変えていく予定だそうです。
世界の色鮮やかな花が咲き誇るフラワー・フィールド
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シンガポーリアンに人気のバラ園
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クラウド・フォレスト ~雲に覆われた寒冷な高山の世界~
フラワー・ドームを出たら、キャノピーの右側にあるクラウド・フォレストに入ってみましょう。フラワー・ドームよりもさらに高さのある、巨大なガラスのドームの中に足を踏み入れると、目の前には高さ35mの人工の山がそびえています。その頂上からは人工の滝が流れ落ち、さらに山はミストの噴射によって作られた人工の雲に取り巻かれているのです。まるで宮崎アニメの舞台にような、想像を絶する光景に目を見張ります。寒冷な高山を再現したドーム内の空気は、ひんやりしていて肌寒いくらい。
山の周りはボードウォークのような散策路がぐるぐると取り巻いており、頂上は標高2000mの設定になっています。来場者は山の中にあるエレベーターで6階まで上がってから、標高1000mの設定の低地まで、散策路を歩いて降りていきます。高山の植物に覆われた山の外壁を見ながら、人工の雲の中を歩くのは印象的な体験。ハイヒールやビーチサンダルを履いたままで、気軽に冒険気分を味わえますよ。
この先はクラウド・フォレストの中の見どころを詳しく見ていきます。
◆「標高2000m」の世界を再現するロスト・ワールド
人工の山の中心に設置されているエレベーターで6階に上ると、そこには「ロスト・ワールド」と名付けられた空間が広がっています。この地点は標高2000mの設定になっており、霧の噴射で作られた雲に触れると、髪や衣服がしっとりと湿るほど。中央には池があり、周囲にはパフィオペディルムをはじめとする高山のランやシダなどがびっしり植えられています。雲の向こうにはドームのガラス越しにマリーナ・ベイ・サンズも姿を見せており、何とも不思議な眺め。ガラス張りの天井から差し込む常夏の陽光をいっぱいに浴びながら、寒冷な高山地帯を体験できるという、楽しいエリアです。
◆山のまわりをぐるりと歩くクラウド・ウォーク
ロスト・ワールドを抜けると、山の周囲にぐるりとめぐらされたボードウォークのような散策路「クラウド・ウォーク」が始まります。ここを歩きながら、山の表面にびっしり植えられた高山の着生植物を観察し、人工の滝の裏側まで降りていくのです。
散策路の途中ではところどころで人工のミストが噴き出し、雲の中を下山する気分を味わえます。足元を覗き込むと、標高1000mの峡谷という設定のドームの底まではっきり見えて、ちょっと怖いくらい。ドームのガラスの向こうには青いマリーナ湾が見えて、これまたすばらしい景色です。終着点の滝の裏側では、滝壺の部分に虹が見えることもあります。ぜひチェックしてみて。
◆地球の生み出す神秘を感じるクリスタル・マウンテン
滝の裏側を見た後は、順路をエレベーターで降っていくと、「クリスタル・マウンテン」と名付けられた広場に出ます。展示台の上には、見上げるほど背の高い鍾乳石や、美しい紫水晶のドーム(ジオード)がいっぱい。白や褐色の鍾乳石は、まるで大聖堂のような端正な形をしています。自然が育んだ鉱物たちを見ながら、地球の持つ神秘的な力に思いを馳せてみてください。
OCBCスカイウェイ ~スーパーツリーの散策路から、ガーデン全体を見渡そう!~
ベイ・サウス・ガーデンの中心部には、高さ25~50メートルもある人工の木「スーパーツリー」が並んでいます。上部で枝を大きく広げている姿が印象的なこの人工ツリーは、12本も密集して立っているため、下から見上げるとかなりの迫力。2つの25メートル級のスーパーツリーの間には、空中回廊と呼びたいような散策路「OCBCスカイウェイ」が通っており、歩いて渡ることができます。地上から22メートルのところにあるこの散策路は、全長128メートル。ここからガーデン全体を見下ろすと、ガラスのボウルを伏せたような形のフラワー・ドームとクラウド・フォレストも、いかに大きいかがよく解ります。
これらのスーパーツリーのうち11本には、太陽光のエネルギーを利用するための機能が付いています。また、一番高い50メートルのツリーの頂上部には、レストランの「スーパーツリー・ダイニング」が近々開店する予定です(2012年7月現在)。
★OCBCスカイウェイ入場料: 大人5 Sドル 子供(3-12歳)3 Sドル
進化しつづける10のテーマの庭
スーパーツリーの周囲は、それぞれ異なるテーマを持った、10の庭園が取り巻いています。「インド庭園」、「中国庭園」、「マレー庭園」、「植民地時代の庭園」「発見の庭」「生命の連鎖の庭」「果物と花の庭」「下層植生の庭」「ヤシの木の世界」「木の生命の秘密の庭」がそのラインナップです。赤道直下の国際都市シンガポールにふさわしい、個性豊かな庭ばかりですが、一部はまだ工事中。今後整備されて、ますます魅力的なガーデン群になっていくと思われます。ぐるりとひとめぐりして、お気に入りのお庭を探すのはいかが?
華やかなランに彩られた、植民地時代の庭
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生命の連鎖の庭に立つ、サイチョウのトピアリー
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世界中から集められた木々と花々のパワーを感じられるガーデンズ・バイ・ザ・ベイ。広大な敷地を回るには、ある程度の時間と体力の補給が必要です。ガーデン内のビジター・センターやスーパーツリーの周囲には、様々なタイプのカフェやレストランが並んでいます。今後ダイニングエリアは、ますます充実していく予定。おいしいお食事やお茶でエネルギーを補充しながら、じっくり散策してみてくださいね。以上、シンガポールナビでした。